訪問国の教育事情
1.はじめに
2.フランス
3.ベルギー
4.ドイツ
青少年の学校外活動
教育事情関連データ
フランスのリセ
先生の給料
スポーツ青年省
アミアンの青少年問題
ベルギーの青年活動
青年会館
ドイツ教育の概要
ドイツの実状
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JEUGD EN STAD施設
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青少年教育施設
薬害防止策
ソーシャルワーク
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訪問国の教育事情
1.はじめに
フランス、ベルギー、ドイツと3ケ国を訪問し、フランスとドイツでは実際に学校を訪れ、教育制度に関して現場の声を聞くことができた。学校を取り巻く諸問題も含めて、担当者の話を中心にまとめる。
2.フランスの教育事情
(1)教育制度
フランスの義務教育年限は10年である。2歳から5歳までの幼稚園は任意であるが、6歳の小学校(エコール)入学から義務教育となる。5年で小学校を終え、4年間の中学校(コレージョ)へ進む。続く高校(リセ)は3年間だが、義務教育は16歳まで続き高校最初の1年は義務教育期間が残っている。高校では職業コースを選ぶことができ、エンジニア学校への道もある。専門学校や大学に進むために自分の選択した教科でバカロレアという試験を受け、進学の道が開ける。小学校は市(区)が運営、中学校は県、高校は地方が管轄している。
語学教育の重要性が高まっているため、次年度より小学校でも英語の授業を取り入れることになっている。
(2)リセ・ジュアン・ルルサ(LYCEE JEAN LURCAT)の現状
ジュアン・ルルサ高校の生徒数は1,200人で2つの校舎がある。訪問先の校舎では600人が学んでいる。1965年創立の高校で、普通と専門の2つのコースがある。生徒のコース選択は半数の300人がバカロレアコースを選び、半数は職業コースを選んでいる。最近は失業率が高くなっており、2年生から職業コースを選ぶと高校卒業後に就職できる可能性が高い。大学卒業後の就職先は、厳しい状況になっている。フランスを訪問する直前にパリにおける高校生のデモが日本でもテレビで大きく報道されていた。高校生は、授業数が多すぎることや1クラスの人数が多い点について改善を求めるためのデモを行っている。授業数は1週35時間で、授業内容も難しい。実際に、この学校の生徒もデモに参加しているが、特に大きな問題はおきていない。クラスの人数が多い事に対しては教員も同様の考えを持っているとのことだった。この学校はパリの中心部にあるのでトラブルは発生していないが、郊外の高校では様々な問題を抱えている。1クラスの人数が多いことや、学校が安全ではないことなど、デモの中心となっているのは郊外に住む高校生達である。
失業率が高まり、親が仕事をしていない状況を見てフランスの高校生達は将来の仕事に対して不安を持っている。学校には職業紹介を専門に行う指導員がいて、進路について相談にのっている。
校舎内の授業風景を見学したが、日本の高校生に比べて大人に見える。授業数が多いといっても、日本の高校生よりは伸び伸びと学校生活を楽しんでいるように感じられた。
(3)高校の先生の給料
ジュアン・ルルサ高校のビッテコック教頭先生より先生の給料について説明を受けた。管理職を別にして先生にはグレードがある。日本で言えば大学の講師、教授のような区分である。試験は難しいがAgrege(アグレージュ)というグレードになると、週の持ち時間が18時間から15時間に減り、給料もあがる。1ランク給与があがる場合に1年の場合と1.5年の場合がある。昇給が違うのは評価によるもので、学校長40点、教育委員会の評価が60点で評価され、給与に反映する。先生に対する評価は、「勤勉さ」「勤務状況」「授業法」の3つで、それぞれ4段階の評価が行われている。
3.ベルギーの教育事情
(1)ベルギーという国
かつては周辺の強国の支配を受けたが、1831年より立憲君主国となっている。日本の九州よりやや小さい国土にオランダ語、フランス語、ドイツ語を話す民族が混在している。人口1千万人の小国であるが、ブリュッセルにはEU本部の他、国際的な機関が多い。ヨーロッパの中心的な役割を持つ機関がこの国に置かれている事は興味深い。
ベルギーでは社会教育施設を訪問した。教育制度についての説明の機会はなかったが、学校以外の施設で多くの情報を得た。この国が直面している問題について、ストレートに感じ取ることができた。
(2)移民問題・失業問題
ベルギーの人口の10%が移民であり、こうした子ども達の家庭ではフランス語などのベルギー公用語を使っていない。北アフリカや地中海沿岸地域からの移民が多いが、言葉の問題で学校の宿題もままならない。したがってバカロレアに合格することは、難しくなってくる。学歴や技術がないため失業問題も大きい。
社会教育施設はこうした人々の受け口となっている。子どもたちの遊び場であると同時に、学校の授業を補う学習の場ともなっている。訪問施設のひとつの「Foyer」では義務教育年齢であるにもかからず学校に行っていない生徒を対象とした学習や職業指導を行っている。言葉が不自由する場合には、学校教育では行うことのできないきめ細かな教え方をする。
(3)麻薬問題
青年達が麻薬を使わないようにするために、社会教育施設では色々な取り組みを行っ
ている。10歳程度の子どもでも、どこでどんな種類の麻薬を買うことができるかを知っているという。ドイツと同様にストリートソーシャルワーカーが街頭で子ども達に声をかけている。ブリュッセル郊外の住宅地は、華やかな古都のイメージとは違った一面を見ることができる。移民の多く住む地区は、失業問題等に直面している。
4.ドイツの教育事情
(1)ドイツの教育制度
ドイツ連邦共和国の人口は8,100万人で、EUの中では一番人口が多い。750万人が外国籍となっている。ドイツは連邦制をとっていて、16の独立した州がある。各州にはそれぞれ教育に対しての権限がある。300年ほど前に小国に分かれ、文化の独自性を尊重するために各州の独自性を保つことによって統一が進められてきた経緯がある。このため16の違った学校制度が存在している。大学に入学する際に教育レベルに著しい差異が生じないように、定期的に各州の文部大臣による会議を開いている。
義務教育は6歳から始まる。小学校始まりは9月で、11月1日以降に生まれた子どもは6歳に満たなくても5歳で入るか、6歳になってから入るかを両親が判断して選択する。そのため平均入学年齢は5.6歳で、全ての子どもが同じ学校に入る。
小学校は州によっては6年のところもあるが基本的には4年間、その後3つのタイプの学校に分かれる。ハウプトシューレ(基幹学校)、リアルシューレ(実科学校)、ギムナジウムの3種である。総合制学校(ゲザムトシューレ)は3種類の教育内容を提供する。ハウプトシューレは通常5年間で、小学校の4年を加えて義務教育は9年である。能力によってリアルシューレへ進学して、10年学ぶ場合もあればギムナジウムへ入り大学進学を目指して12年学ぶ場合もある。高校卒業資格がとれる学習期間は12年であるが、旧東独の州では13年のところもある。
ゲザムトシューレ(総合学校)以外は学校間で途中変更が可能である。ゲザムトシューレは3つの形態を取り入れ、受け入れの幅が広いので他の学校と生徒の入れ替えはない。第2期目の最初の2年で能力に応じて学校間で生徒の進路変更がある。6年目の生徒の状況に応じ、先生達の会議で、その生徒が今の学校に適しているかどうかを評価する。
○ハウプトシューレ(主科学校、基幹学校)
この学校は職業に就くための学校である。ハウプトシューレでは5年生から英語等を学び7年生から技能を学ぶ。9〜10年で卒業すると職業に就く資格ができる。卒業して、もう少し先の勉強がしたい場合は専門高等学校に行く資格を得て、ギムナジウムや商業学校に進学できる。様々なコースがあるのは、背景に5年生で進路が決まっても、その後に選択の余地を持たせているからである。ハウプトシューレを卒業してギムナジウムへ進む生徒は少数である。
職業教育を3年間受けると認定証が与えられ実際の職業に就くことができる。3年間の職業教育はカリキュラムとして成立していて、企業に入って働きながら学ぶ。賃金も支払われ、企業が教育を行う形となっている。働くと同時に公的な職業学校にも通い理論を学ぶ。職場と学校の2つの場所で行われる教育を2元システムという。
○リアルシューレ(実科学校)
リアルシューレは、ハウプトシューレと同様で第1外国語(英語)は必修で7年生からはフランス語が選択できる。9年生からは技術的な情報、経済などを修得する。リアルシューレの卒業資格は10年でとれる。特に成績がよい場合は、証明をもらってギムナジウムに移行できる。リアルシューレの卒業生は銀行等の商業関係、中程度の公務員職などに就職する。社会の状況が変化していて、典型的な職業が変わってきたので、リアルシューレからギムナジウムへ進む生徒が多い。リアルシューレを卒業した後の就職先が少なくなってきている。3分の1の生徒がギムナジウムに進み、3分の1が専門学校、高等職業学校へ進んでいる。
○ギムナジウム
ギムナジウムではフランス語、ラテン語から修得を開始する。ギムナジウムは大学卒業資格を得るためのコースで13年生を卒業すると大学へ進学することができる。10年生でギムナジウムへ移行する場合は、ギムナジウムの高学年へ編入される。今年から来年にかけてシステムが変更になる。5年生からはクラス単位で行われる授業だが11年生からはクラス単位(大人数)ではない授業を選択することができるような変更が行われる。11年生からは、6つの必修科目と2つの選択科目を修得する。各科目は1週間に3時間で13年生の前半までは、6つの必修科目に数学と外国語、国語(ドイツ語)が含まれていなくてはならない。それに加えて体育、宗教の時間(選択しない場合は哲学)が必修になる。12年生は能力に応じたコースを1週間に5時間と2科目を履修する。それぞれの教科のテストに合格しないと高校卒業の資格にはならない。高校卒業資格をとるためには11年、12年で決められた成績に達しなければならない。ドイツの成績表は6段階で1が一番よい。6は落第で、1〜4までの成績をとらなくてはならない。アビトューア(高校卒業)の資格がとれない生徒は11年生が終わった段階で専門大学等へ進む資格を得ることができる。ドイツの高等教育は専門大学と総合大学の2つあり、専門大学は実学の学校教育に近いものである。専門大学は総合大学と同等の科目があり、総合大学と同様の資格だが、一般的な就職の場合は専門大学の方が少しグレードが下に見られている。専門大学を卒業した生徒はヨーロッパ内でどういう資格にしたらよいのか、各国の教育システムが違うので現在検討中である。ギムナジウムの高学年で選べる科目は、物理、化学、生物、社会科学、歴史、地理、英語、フランス語、フランス語、イタリア語、ヘブライ語、ギリシャ語、芸術・音楽等である。デュッセルドルフでは日本語も選択できる。高校卒業資格がそのまま大学入学資格になるが、アビトューアをとったものが希望の大学に入る訳ではない。成績によって1〜2年待たされる場合がある。
○ゲザムトシューレ(総合制学校)
総合学校は、3つのタイプを1つにした学校である。総合学校では5〜6年生は同じ授業で、6年生終了時点で2つの能力グループに分ける。生徒によっては7年生で第2外国語をとらずに数学に力を入れること等ができる。総合学校の趣旨は、できるだけ遅い時点で能力分けをしようというものである。他の学校は能力コースになっているので、総合学校もどこかの段階で能力分けをしなくてはならない。総合学校は能力別で色々なコースができるので、決められたクラス単位の授業ではなく少人数の選択クラスになる。3つの学校制度があるので、ハウプトシューレ、リアルシューレ、ギムナジウムの3つの資格のいずれかを最終的にとる。総合学校で10年終了すると、他の学校と同様の資格となる。
○その他
アーベント・レアルシューレという夜間学校があり、職業に就きながら夜間にリアルシューレの科目を履修することができる。
(2)ドイツの薬害防止策
・ボン市の青少年課ホルトハウゼン・ロンメルツハイム女史の説明より
ドイツではハッシシ、ヘロイン等の問題が80年頃から見られる。80年代はアルコール中毒、最近では合成薬物の問題がでて、それに対する対策も必要となっている。青少年に薬物に対する情報を与えているだけでは、かえって薬害を増やしてしまう。
薬物を使用する人々は他の人に比べて魅力的な人生を送っているような印象を与えてしまうことから、青少年に対して薬物の情報を与えるよりも、今何をしなければならないか・・を青少年に教えることにしている。なぜ依存症が起こるかについては、様々な理論があるが、共通する点は自信のない人は薬物に頼りがちであるということである。青少年には考えなければならない多くのテーマがある。両親、友人との対話、将来の職業について等、人間としてどう生きるかという問題を投げかけるキャンペーンを行った。
「依存症には背景がある」をテーマとした4週間のキャンペーンでは、ポスターを町中に貼り、新聞広告も出した。キャンペーンでは、両親や青少年の心の中から薬物依存症が出てくるということを唱っている。ポスターの例として、「皆といっしょにアルコールを飲んでいていいのか?」という問いかけの形は、自分の判断で「自分は酒を飲まない」と言える意志を育てることを目的としている。
両親を対象とした催し物も行った。子どもに接する近親感と距離感についても、テーマとして取り上げ、両親の不在感が子どもの中に埋め込まれてしまわないよう注意を喚起している。
5.まとめ
フランス、ベルギー、ドイツと3ケ国の教育を巡るシステムや問題について日本の状況と比較することができた。経済的なEU統合を控え、各国の教育システムもヨーロッパ内で共通するライセンスを模索するなど新しい動きがある。国際化については各国とも共通の課題で、語学をさらに重視する動きとなっている。
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